チューナーレステレビについて解説 | テレビの新しい選択肢
近年、インターネット動画配信サービスの普及に伴い、私たちのテレビ視聴習慣は大きく変化しています。従来の地上波放送や衛星放送を見る機会が減少し、Netflix、YouTube、Amazon Prime Videoといった動画配信サービスを大画面で楽しみたいというニーズが急速に高まっています。このような現代の視聴トレンドを背景に登場したのが、「チューナーレステレビ」です。
チューナーレステレビって何?
チューナーレステレビは、その名の通り、地上波やBS/CSデジタル放送を受信するための「チューナー」を内蔵していないテレビです。従来のテレビがアンテナと内蔵チューナーを接続することで放送を視聴できたのに対し、チューナーレステレビは、この放送受信機能を持たない点が最大の違いです。
見た目が似ているため、チューナーレステレビとPCモニターも混同されやすいですが、機能面では大きな違いがあります。近年のチューナーレステレビの多くはGoogle TVなどのOSを搭載しており、単体でインターネットに接続し、各種アプリを直接利用してコンテンツを表示できます。一方、PCモニターはインターネットに直接接続する機能を持たず、映像機器からのコンテンツはHDMIやDisplay Portといった端子を通してのみ表示可能です。PCモニターは外部デバイスがなければ単なる表示装置です。
チューナーレステレビのメリット
チューナーレステレビには多くのメリットがあります。
1. 画面サイズのわりに価格が安い
チューナーレステレビは、従来のテレビに必須であったチューナーを内蔵しない分、製造コストを抑えられており従来のテレビと比較して安価な機種が多いです。そのため、予算が限られている方や、大画面でインターネット動画を楽しみたいものの、テレビ放送はほとんど見ないという方にとって、非常に魅力的な選択肢となります。
2. NHK受信料の支払い義務が生じない
チューナーレステレビが多くの関心を集める最大の理由の一つは、NHK受信料の支払い義務が発生しない点です。放送法第64条1項(受信契約及び受信料)の規定により、「放送を受信する機能を有しない設備については放送法64条1項に規定する協会の放送を受信することのできる受信設備にあたらないため、受信契約の必要はない」とNHK並びに日本政府が回答しています。別途TVチューナー全般やケーブルテレビのセットトップボックス(STB)などを所持しない限り受信料を請求されることはありません。
出典「安倍晋三 (2020年1月31日). “衆議院議員中谷一馬君提出通信と放送が融合する新時代におけるNHKの受信料のあり方に関する質問に対する答弁書”. 衆議院.」
3. 豊富なインターネット動画やVODを大画面で楽しめる
出典:Philips(フィリップス) チューナーレステレビ スマートテレビ Google TV内蔵
チューナーレステレビの最大の魅力は、インターネット上の豊富な動画コンテンツやVOD(ビデオオンデマンド)サービスを大画面で堪能できる点です。Netflix、Amazonプライム・ビデオ、Disney+、Hulu、U-NEXTといった主要な定額制動画配信サービスに直接アクセスし、迫力ある映像を楽しめます。YouTubeなどの無料動画コンテンツも手軽に視聴できるため、多様なエンターテイメントが手に入ります。
4. スマート機能で快適な視聴体験
多くのチューナーレステレビはGoogle TVやAndroid TVといったOSを搭載しており、まるで大型のスマートフォンを操作するような感覚で直感的に利用できます。
リモコンに音声認識機能が備わっていれば、AIアシスタント(Googleアシスタントなど)を活用して、番組検索や各種操作を音声で行うことが可能です。
さらに、PCやスマートフォンの画面をテレビに共有するミラーリング機能や、コンテンツを直接テレビに「キャスト」する機能も充実しています。これにより、スマートフォンで撮影した動画や写真、ゲームなどを大画面で家族や友人と一緒に楽しむことができます。
購入前に知っておきたい!デメリットと注意点
チューナーレステレビには多くのメリットがありますが、購入前に理解しておくべき注意点もあります。
1. 地上波放送やBS/CS放送をリアルタイムで視聴できない
当然ながら、チューナーレステレビはチューナーを内蔵していないため、アンテナを接続しても、一般的な地上波放送やCS/BSデジタル放送の番組をそのままではリアルタイムで視聴できません。ニュースやスポーツ中継など、生放送を重視する方には、チューナーレステレビは不向きな可能性が高いです。
2. インターネット接続が必須
動画配信サービスなどのスマート機能を利用するためには、安定したインターネット接続が不可欠です。インターネット環境がない場合、チューナーレステレビは単なるPCモニターとしてしか利用できません。また、インターネット回線の契約費用や、動画配信サービスのサブスクリプション料金が別途必要になる場合があるため、本体価格以外にかかるコストも考慮する必要があります。
3. 録画機能がない場合が多い
一般的に、チューナーレステレビには録画機能が搭載されていません。特定の番組を録画して後で視聴したい場合は、別途録画機器(外付けHDDレコーダーなど)を用意する必要があります。
4. 安価なモデルは低スペックな場合も
市場には安価なチューナーレステレビも多く出回っていますが、中にはハードウェア自体の性能が低いモデルも存在します。性能が低いと、起動に時間がかかったり、動作がもたついたりすることがあります。快適に視聴するためには、多少価格が高くても高性能なモデルを買うのがおすすめです。
チューナーレステレビで「テレビ番組」を見るには?
チューナーレステレビは、そのままではリアルタイムの地上波放送を見られませんが、いくつかの方法でテレビ番組のコンテンツを楽しむことが可能です。
1.TVer(ティーバー)を利用する
TVerは、民放各局の番組を放送終了後から約1週間程度、無料で見逃し配信で視聴できるサービスです。チューナーレステレビにTVerアプリを直接インストールするか、Fire TV Stickなどのストリーミングデバイスを経由して視聴できます。ただし、リアルタイムでの視聴はできず、視聴期間が限定されている点、また視聴中に広告が挿入される点には注意が必要です。
2. 外付けテレビチューナーを接続する
チューナーレステレビに別途、外付けのテレビチューナーを接続し、アンテナを設置することで、従来のテレビと同様にリアルタイムで地上波放送やBS/CS放送を楽しむことができます。この方法は、安定した高画質での視聴が可能であり、長期間の利用を前提とする場合に特にメリットが大きいと言えます。ただし、この場合、NHK受信料の支払い義務が発生する可能性があるため、注意が必要です。
3. ストリーミングデバイス(Fire TV Stick, Chromecastなど)を接続する
出典:Amazon Fire TV Stick
チューナーレステレビがOSを内蔵していない場合や、より多くの動画サービスを利用したい場合に、Fire TV StickやChromecastなどのストリーミングデバイスをHDMI端子に接続して利用できます。これにより、様々な動画配信サービスやTVerなどを視聴できるようになります。
チューナーレステレビでできることと そのメリット・デメリット
視聴方法 | リアルタイム視聴 | 追加費用 | メリット | デメリット |
外付けテレビチューナーを接続 | 可能 | チューナー代、アンテナ工事費、NHK受信料 | 高画質、安定した視聴、リアルタイム視聴可能 | NHK受信料発生の可能性、初期費用が高い、配線が増える |
TVer(見逃し配信) | 不可 | インターネット回線費 | 無料で手軽に視聴、好きな時に見られる | リアルタイム不可、視聴期間制限、広告表示 |
ストリーミングデバイス接続 | 不可 | デバイス購入費、インターネット回線費 | 豊富なアプリ利用、様々なVODサービス視聴 | デバイス購入費がかかる、リアルタイム不可 |
後悔しないためのチューナーレステレビ選びのポイント
1. 安定したインターネット環境があるか確認する
チューナーレステレビは安定したインターネット接続が必須です。Wi-Fiの電波強度や回線速度など、自宅のインターネット環境が安定しているか事前に確認することが不可欠です。
2. 画面サイズと解像度を選ぶ
部屋の広さや視聴距離に合わせて、適切な画面サイズを選びましょう。
解像度は、フルHDと4Kが主流です。4Kモデルは高精細な映像を楽しめますが、その分フルHDモデルと比較して価格は高めです。また、データ通信量が増えるためしっかりしたインターネット環境が必要となります。
3. 搭載OSと対応サービスを確認する
Google TVやAndroid TVが主流ですが、利用したい動画配信サービス(Netflix、Amazon Prime Videoなど)がプリインストールされているか、またはアプリを追加できるかを確認しましょう。音声アシスタント(Googleアシスタント、Alexaなど)機能の有無も、操作に大きく影響します。
4. 追加費用を考慮する
本体価格だけでなく、インターネット回線費、動画配信サービスの月額料金、必要であれば外付け録画機器やストリーミングデバイスの購入費用なども発生します。
まとめ チューナーレステレビはこんな人におすすめ!
チューナーレステレビは、以下のような方に最適な選択肢となります。
- インターネット動画やVODサービスを中心に視聴する方
- NHK受信料を節約したい方
- 大画面でゲームやPC作業をしcたい方
- コストパフォーマンスを重視する方
ご自身のライフスタイルや視聴習慣に合わせて、最適な一台を選んでみてください。
出典
③デジタル時代における 放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(案)- 総務省 https://www.soumu.go.jp/main_content/000827789.pdf
④衆議院議員中谷一馬君提出通信と放送が融合する新時代におけるNHKの受信料のあり方に関する質問に対する答弁書 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b201011.htm
⑤チューナーレステレビとは|NHK受信料が不要?メリット・デメリットやおすすめ商品を紹介 https://mizuho-a.com/about-radiodisturbance
⑥イラネッチケー | Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%81%E3%82%B1%E3%83%BC
⑧見逃し無料配信TVer(ティーバー)をテレビの大画面で見る方法 | TVer https://tver.jp/_s/campaign/tvapp_promotion/index.html